日常生活にも役立つ行政学、4つの意思決定理論

広く、浅くでも知見が広がるのは良いことです。

行政学って、聞きなれない言葉ですが、19世紀末にアメリカで発祥した行政、政治活動を行う学問で、現代まで議論されています。

そんな行政学を解説します。

1.合理的意思決定

サイモン(Herbert Alexander Simon)

1916.06.15 ~ 2001.02.09

アメリカの政治学者、認知心理学者、経営学者、情報科学者

想定可能な限りの選択肢を洗い出し、それぞれの効果を比較したうえで、最適な選択をします。

しかし、合理性を志向しながらも、認知能力には限界があり、

結局、自分の出来そうな事を達成して満足する、満足化基準で生きている。という考えです。

<プロセス>

選択機会(問題・課題)に直面

選択肢の洗い出し

効果測定

最も満足いく方法を選択

<例え>

今日の夜は、お酒を飲んで息抜きしたい。

・コンビニ弁当・ビール   1000円  満足度  10点

・ラーメン屋で飲食     2000円  満足度  20点

・立飲み屋でほろ酔い        3000円  満足度    30点

・居酒屋                          5000円  満足度  50点

・焼肉屋で飲食                 8000円  満足度  80点

繁華街へ               15000円  満足度 100点

、といった具合に可能な限り、選択肢を洗いだします。

たまには、繁華街で飲みたかったので、満足度が一番得られる選択をしたというプロセスです。

2.漸増主義理論(インクリメンタリズム)

リンドブロム(Charles Edward Lindblom)

1917.03.21 – 2018.01.30

アメリカの政治学者

今までの経験、現状をベースに、現実可能と思われる選択肢を洗い出した所で留め、現実主義的な決定を行う。※あらゆる選択肢の検討はしない。

従って、極めて保守的という一面もあります。

<プロセス>

選択機会(問題・課題)に直面

現実可能な選択肢の洗い出し

選択

<例え>

今日の夜は、お酒を飲んで息抜きしたい。

だけど…

毎月のお小遣いは5万円。色々と出費もあるから、選択肢(使えるお金)は限られるなぁ…。

・コンビニ弁当・ビール 1000円

・ラーメン屋で飲食     2000円

・立飲み屋でほろ酔い      3000円

・居酒屋                        5000円

・焼肉屋で飲食               8000円  ※考えない

・繁華街で飲食           15000円  ※考えない

懐事情を考えて、居酒屋で飲む。

このような事って誰でも経験したことがあると思います。

インクリメンタリスムで考えている事になります。

3.混合走査法モデル(Mixed Scanning Model)

エツィオーニ(Amitai Etzioni)

1929.01.04 ~

アメリカの社会学者

このモデルは、合理的意思決定インクリメンタリズムの良いとこ取りです。

全てにおいて、合理的意思決定を行っていたら、労力を要し、選択肢・決定までに時間がかかり大変です。

よって、

【重要】【重要な問題ではない】に分けて、

重要な場合は、合理的意思決定を行い

重要でない場合は、インクリメンタリズムで意思決定を行うというものです。

<例え>

金銭の設定は、個人差があるので一例です、

一般的に10万円で何か家電を買うならば、「どのメーカー良い?」、「デザインは?」、「機能、性能は?」、と色々検討し、自身が納得し、欲しければ購入するでしょう。(合理的意思決定です)

対して、

少額の買い物なら、100円ショップ等で悩まず、欲しいと思えば数点は購入するでしょう。(インクリメンタリズムです)

この様な感じで状況に応じて、対処するという手法です。

4.ゴミ箱モデル

ジェームズ・ガードナー・マーチ(James Gardner March)

1928年 ~

アメリカの社会学者、政治学者

ヨハン・オルセン(Johan Peder Olsen)

1939.08.14 ~

ノルウェーノの政治学者

マイケル・D・コーエン(Michael D. Cohen)

1945.03.22 – 2013.02.02

アメリカの学者

3人の学者による提唱です。

組織、会社における会議の意思決定でゴミ箱モデルという理論です。

このモデルを簡単に言えば、意思決定って、実際は合理的なプロセスは踏んでおらず、曖昧、偶然の要因が多分にあるという考えです。

<説明>、

意思決定するに当たり、ゴミ箱をイメージします。

中身は、以下の4つです。

①会議

②参加者・出席者

③問題・課題

④解(決定)

そして、この4つが、たえずゴミ箱から出たり入ったりします。

会議を何回か重ねれば、あらたな問題点、課題が見えてきたり、

複雑化して論点が曖昧になったり、

また、参加者の考え方も時間と共に変わる事だってあるでしょうし、

状況にだって変わる事があるでしょう。

要は、集団における意思決定偶然に4つのファクターが結ぶついた結果でしかないという事です。

例えば、職場の飲み会をするにあたり、

・暑いから、気分を変えて外でのビアガーデンを選択

・梅雨入りで天気も悪いから、普通の居酒屋を選択

今年の忘年会は、

・例年通り12月中旬に実施

・12月は、業務が忙しく参加者も少ないので、年明けの新年会に時期を変更

…等と意思決定って、

結局、何かしらの偶然、状況に左右されるし、理由があるよね。って事です。

5.応用

ここまで述べてきた、意思決定を生活に役立つよう、マーケティングに活かしてみます。

5-1 自分自身の場合

現状の増減、インクリメンタリズムで考えていませんか?

満足度を得られる選択機会で考えていますか?

普段から意識して、このチェックを行い、解決力を高めていく事が大切です。重要な問題、課題においては、合理的意思決定し、さらに視覚化比較検証も行うことで、わかりやすく判断できる手法を身につけていきましょう。

5-2 他人の意思決定に関与する場合

重要な事は、インクリメントリズムでは解決出来ません。

満足を得られる選択肢をあげて、合理的意思決定へ導いてあげる方が良いです。相手も受け入れ易いでしょう。また、心理面を考慮してあげる事も大切ですよ。

人は、憧れを抱きますが、現実離れしていると、不相応、合わないと思ってしまいます。

従って、良すぎるものも、売れません。

なぜなら、人間は変化を嫌う生き物なので、慣れ、習慣が変わる事を敬遠します。

通常の事ならば、今までの生活と差ほど変わらず生活の延長メリットがある等なら、安易に選択をしてくれますよ。

6.まとめ

身近な生活で何気なく行動していても、何かしら毎日意思決定を行い、過ごしています。そんな事でも、理論的なメカニズムを知ると面白いものです。

何かの選択機会に、合理的に考えよう。インクリメンタリズムで考えよう。

その場のノリでごみ箱と、頭の片隅に置いておくと、役立つこともあります。

○○学とか、○○理論とか、突き詰めると難しいですが、さらっと知っているだけでも、「考えた方」を生活に役立つことが出来ますよ。

以上、本日のblogress(ブログレス)でした。

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